2年前の見学の日

今年も、来年度の新入園さんに向けた入園前説明会の季節が来た。

2年前、今は年中になるさーちゃんと私もピッコロに見学に入った。
その頃はまだ都内で働いてたので、
入園前説明会には行けず、申し込みに必須の見学も締め切りギリギリの10月末に行ったのだ。
雨の日だった。

今でもはっきりと覚えているシーンがある。

お弁当後、ビニールハウスで絵本を読む時間だった。

絵本を持つ中島先生の前に、ピッコロの子供たちがずぎゅうぎゅうに並んで座った。
私たち親子はその後ろ。

さーちゃんが小さくポツリと言った。
「、、、見えない」
前を向いていた子供たち6、7人がさっと振り返ってさーちゃんを見た。
そして、ぎゅうっとつめて絵本を見えるよう少し空間をあけてくれた。
それでも幅が足りず、まだ見えにくかった。
「見えない」
もう一度言ったさーちゃんを振り返り、
子供達で「もうちょっとそっちよってー」「これくらい?」と、さらに融通して広くあけてくれた。
十分な広さだったと思う。
子供たちもそれぞれが、先生とさーちゃんを視認し、絵本の方を向いた。

「見えないー」

もう、誰も振り返らなかった。

絵本が読まれ始め、さーちゃんはそれ以上何も言わなかった。

それが不思議な光景に見えた。

確かに3度目の「見えない」は、なーんか違った。
〝絵が見えないからもっと近寄せて〟って感じの「見えないー」だったように思う。
なんというか、ただのワガママな感じ、、、?

ここの潮目の変化を、そこにいる全員が満場一致で感じとり、その言葉には寄らなかった、ということなの、かな?

人の言葉をどこまで汲むかを、状況をみて自分たちで判断してる。
だーれもなーんにも言ってないのに。

その印象が今も鮮明に残っている。

年中組保護者  吉田 みーこ