視察参加者の声
Mさん(保育士)
「森の中の保育」
「信じて待つ保育」
子どもを信じるって
理想はわかるけど
現実は難しいのでは?
そんな疑問も持ちながらの参加でした。
そこで実践していたのは
文字通り徹底的に待つ保育。
朝の会も
お昼ご飯のいただきますも
大人からは指示しない。
黙って先生が座ると
気づいた子ども達から
集まってくる。
先生はみんなが集まるのを
ただ待つ。
そしてみんなで相談して
行先を決めたり、
気が付いた人が
いただきますの
お祈りを始める。
車が通る道路を渡る時も
大人は介入しない
(見守りはします)
年長児は年少児の手を取り
命を守るべく真剣に渡る。
ひとりひとりが
自分で考えて行動する
姿がありました。
また、
ピッコロでは
子どもの気持ちに寄り添う。
その寄り添い方が半端ない。
ちょっとしたつぶやきも
聞き逃さずに拾って
「〇〇って思ったんだ」と
言語化してあげる。
その後も
「どうして○○って思ったの?」
と深堀り。
すると子どもは考える。
自分の気持ちと向き合うのだ。
「〇〇だったから」
「そうなんだ、○○だったからなんだね」
そんなやり取りが
1日の中で何度も何度も
あちらこちらで繰り広げられていた。
「すべての感情をなかったことにしない」
これは
代表の中島先生はじめ
ピッコロスタッフの共通認識。
どんな感情も
ちゃんとフォーカスして
感じさせてあげる。
その時は1対1で
じっくりと関わって
あげる。
そんな経験をしてきた
子ども達は
自分に対しても
他者に対しても
とても寛容で温かい。
待ってもらった子は
他者を待つことができるし
気持ちを受け止めてもらった子は
他者の気持ちを受け止めて
あげるこができる。
友達が悲しんでいたら
自分事のように
寄り添い(表情で伝わる)
自分ができることをしようと
していたり、
友達が困っていたら
手を差し伸べたり、
友達にちゃんと
思いを伝え、
相手の思いも
聞いてあげる。
そんな姿がたくさんありました。
中島先生が話してくれた
子ども達のエピソードも
どれも素晴らしかった。
その中のひとつ。
何かを決めるのに
意見が分かれた時、
とある年中児が
自分の意見をまげて
「いいよ」と相手に合わせたら
年長さんの一人が
「その譲り方はダメ」と。
「どうしてダメなの?」
と聞いたら
「その譲り方は心が出て行ってしまうから」
と言ったそうです。
そして聞いた年中さんも
「わかった」と。
相手の心を見て
大事にしてるからこその
やりとり。
4歳、5歳で。
すごいです。
こんな感性を
もつ子ども達が
もっと増えたら
きっと素敵な社会に
なりそうな気がしました。
そして大人も。
私達大人も
これまで
自分の感情や気持ちを
ここまで尊重されてきた
人はあんまりいないのではないかと
思います。
どちらかというと
感情や気持ちにはフタをしたり
「なかったこと」にすることが
フツーになっていたりする人が
多い気がします。
実際ピッコロの保護者達の中にも
自分ができなかったことを
子ども達がやっているのを見て
心がざわつく方が少なくないとか。
大人たちも
もっと自分の気持ちや
感情をちゃんと感じてあげたり
吐き出したり
寄り添ってもらったりすることが
必要なんじゃないかと思います。
それが、よい世の中を作っていくのに
とても大事なことのような気がします。
萬慶知津子さん(児童相談所 元ケースワーカー)
―私がピッコロ式保育に惹かれる理由ー
私がピッコロさんを知ったのは今から4年前。
自然の中でこどもたちが過ごす森のようちえんというものがあることを知り、いろんな研修に参加している中でピッコロさんのことを知り、ピッコロさんの冊子『子どもを信じて待つ保育』、『群れの視点―森のようちえんピッコロのエピソードより―』を読んだとき、「これは!!行ってみたい!」と思いました。そして、2年前、4日間のピッコロ式保育研修で、「こどもを信じて待つ保育」を実際に見させてもらい、こどもたちの生き生きとした表情と、人として、凄い根っこが育っていることに、ただただ感激するばかりでした。
私は、10年前まで3年間、児童相談所でケースワーカーをしていました。
児童相談所というと、児童虐待のイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、0~18歳までのこどもについてのいろんな相談事があります。こどもの発達相談、養育、非行や家庭内暴力、引きこもり、不登校、社会的擁護が必要となった場合など、多岐にわたります。
いろんな問題を抱えたこどもたちがいます。
こどもたち自身の特性(うまくコミュニケーションがとれない、感情のコントロールが難しいなど)や、複雑な家庭環境や親からの愛情不足、そして虐待、経済的な困窮など、こどもたちが自分ではどうにもできない問題もあります。
そんな環境の中で、問題行動を起こす子もいれば起こさない子もいます。問題を起こしてしまった子のなかでも、更生できる子と周りに流されて非行を繰り返しなかなか更生できない子もいます。私がこどもたちと接する中で感じたことは、自分の中に根っこを持っている子は自分で考え行動することができるということ。どれだけ根っこが育っているか、周りに信頼できる大人はいるかということで、同じ境遇でも、そこで留まれるか、根無し草のように流されていくか、それからの人生を左右するほどの影響があるということです。
その経験からも、できるなら根っこを育てるのは早い方がいい、成長吸収が著しい幼児期はとても大切な時期だと思っています。
こどもたちには根っこが必要です。自分を大切にすること、相手を大切にすること、いのちを大切にすること。これは、こどもたち自身が大切にされる、人として尊重される、自分を認めてくれる経験をかさねていくことで育つものだと思っています。それは大人にとっても同じことですよね。
森のようちえんピッコロの「こどもを信じて待つ保育」で、そして、「群れ」で過ごすことでこどもたちの根っこが育っています。本当に素晴らしい。何が素晴らしいって、ほんとにピッコロのこどもたちを見ればわかります。こどもたちと過ごせばわかります。すべてこどもたちが教えてくれます。
そして、また、こどもたちを見守る大人たちも素晴らしい。中島先生、保育スタッフの皆さんはもちろんのこと、保護者の皆さんの関わり方、在り方も。こどもとともに育つ、こどもを一人の人間として尊重している。ピッコロで見守る保育を実践していたとしても、家庭での関わり方がそうでなければ、こどもたちの根っこはここまで育たない。ピッコロのこどもたちがここまで育つのは、こどもたちが自分をきちんと認めてもらえて安心して過ごせる環境があるからなのでしょう。
おとなもこどもも群れでみんなで育つと、言うのは簡単だけど、家庭の環境も育ってきた過程も違うなかで、それぞれが持つ価値観も違うのだから、すべて同じ思いでといかないのは当たり前です。こどもたちより大人の方が葛藤もあり、それはそれは大変だろうと思うのだけど、これからも、こどもたちの明るい未来のために奮闘してほしいと思います。
~大人ができること~
ときには、人生の先輩として教え導くことも必要かもしれません。でも、本当に必要なのは、こどもたちが安心して心のままに過ごせる空間を環境を整えてあげること、それだけでいいのかもしれません。そんなことを考えさせてくれるピッコロさんは、私にとって原点回帰させてもらえる特別なところです。ピッコロさんのような保育が幼児教育が、世の中のスタンダードになることを祈って。
2021年2月 萬慶知津子
桜井いずみさん(「自然保育のっぱら」スタッフ)
本当にたくさんの気づきと学びがありました。
頭の中がまだまだまとまりませんが…
子ども達とそこに関わるみなさんのパワーに触れて圧倒されました。
色眼鏡を外して、わからなかったら子どもに素直に聞いてみる。
子どもはよりよく育ちたいと思っていると信じる。
今の育ちがどこにあるか、そして子ども自身がそこをどこまで把握しているか確認する。
等々ことばで書けば書けますがとても難しいことです。
でも先生がおっしゃっていたようにあの手この手を出して、ジタバタもがいてみようと思います。
何より、大人の存在が与える影響は計り知れないなと、怖ささえ感じました。私のあり方を常に見ていかなければなりません。
ですが、子どもにこんなに深く関われる仕事はないと思うので、やりがいも感じています。親としても、今子育てしていることは幸せなことですね…
見学を温かく迎えてくださり、親御さんはじめ先生方、子ども達に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました!
片桐佳奈枝さん(「自然保育のっぱら」スタッフ)
先日は、視察させていただきまして、ありがとうございました。
今回は保育現場から離れて、子育て中でありながらの参加となりましたが、心動かされ、揺さぶられ、刺激をいただきました。
「ごめんなさい、いえないひとになっちゃうよ」と、仲間を想い、あきらめずに向き合う姿に心動かされました。
ごめんなさい言えるひとになってほしい!きっと言えるひとになる!と、願い、仲間を信じているんだなぁと感じる姿でした。
それは、自分も仲間に先生方や、お母さんお父さんに信じてもらっているからなのでしょうね。
最終的には、あきらめはしたけれど、その姿にも✖︎をつけないで、先生、お母さんも見守り、次を信じていらっしゃるから、本人も自分に✖︎をつけないで、次につなげようとするのだろうと感じました。
信じることは、連鎖していくので、大人の関わり方…というか、心次第なのだなぁと。
子どもは、大人の心の内を感じている…とは思ってはいましたが、ピッコロのお母さん方のお話を聞いていて、私が思っていたより、さらに深いところまで子どもは感じている、見抜いているのだと、気づかされました。
私も、日々、娘と向き合うなかで、何か通じ合わない感じがするときがあります。自分自身の心がどこを向いて、何を感じているのか、娘に向く前にまず自分…。深い深いところまで、いろんな角度から見つめなくては…。
まさに修行です。
また、子どもは大人には計り知れない世界があり、つながっていることも念頭に、目に見えるものより、見えない部分をもっと意識して子どもと向き合っていきたいと感じました。
最後に、今回、子連れで参加させていただきまして、ありがとうございました。
とてもあたたかく受け入れてくださり、多くのお母さん方が声をかけ、気遣ってくださり、とても嬉しかったです。
子どもたちも、お母さん方もあたたかいおもてなしをしてくださる、ピッコロさん。
(おもてなし、というより、他者を想い行動することは、当然なのですよね)
私も、そういうひとでありたいとあらためて感じました。
本当にありがとうございました。
小原ゆかりさん(「自然保育のっぱら」スタッフ)
子ども達の様子
1個1個私達に対して説明をしてくれる優しさ、
選挙カーにも心配りをする様子、
道をわたる際、下の子が大きくなったときに、またその下の子達を守れるように、何度も左右の確認を教え込む姿、
帰りの会の時に棒が当たって、ごめんなさいが出来ない子にそれはいけない事だとキッパリ伝える事の大事さ…
本当の優しさ、強さを見せてもらいました
また、
一番心に残ったのは、お母さん方のお話
子どもとの会話について質問させていただいた際に、
どうしたら子どもは話をしてくれるかという話になり、本当にこちらの心次第、こちらの考えていることなど子どもには全てお見通しで、なんの決めつけや偏りのない状態で話をしないことには本当の事は教えてもらえない
わからないから教えてくださいの気持ちで聞いてみると答えてくれたりする
ということ。
また、報告会のときに、子どもやいろんな事に感心がなかったというところから、子どもの心に寄り添うとはどういう事なのかを先輩ママさんに教えてもらったという話を聞いて、お母さん同士の関わりの深さや、お話された方の素直で行動力の素晴らしさに尊敬の気持ちでいっぱいになりました。
我が家もピッコロのお母さん方を見習って、子どもとの向き合い方を色々試してみます。
いろんな気付きをありがとうございました。