お弁当を忘れた日

先日、娘のそらがお弁当を忘れた。
娘はそれに対し、皆に、「自分がお弁当を忘れたので助けてもらいたい」と自分の口から言う事ができなかった。
言う事ができず困っているそら。それを見ていられなかったのか、そらの代わりに自分が言うと名乗り出た、そらと同じ年中組のたおくん。
いざ前に出たたおくんもこんな時になんて言えばわからずに困ってしまった。
そんなたおくんを更に助ける女子。
思いやりが更なる思いやりを生み、そらは助けてもらったのだ。
自分の事を何もしなかったそらから出た言葉は「ありがとう」だけ。そらは「ありがとう」意外の言葉は出てこなかったと言う。
釘をさしてやろうとその晩その話しを持ち出したが、
「その話しはもうしないでほしい」と言う娘。
翌朝、やっぱりしっかり言わなければ!とお弁当をいつもの場所にはおかずカウンターの上に置きっぱなしにした。
起きてきたそらの行動は、何より先にお弁当をリュックにしまい、自ら水筒にお水を入れいつもの場所にセット。出かける時もブツブツ言いながら忘れ物はないかと確認していた。
その姿を見て、これは私が何か言うべきなんだろうか?目の前で彼女は自分で考えながら努力をしている。私が何か言えば、彼女のその気持ちをグシャッと踏み潰してしまうのではないだろうか。
結局私は何も言わなかった。それが正しいのかはわからない。ただ、一つ信じられる事。子育てには何一つ自信はないが、子どもを信じて待つ大人(先生、保育スタッフ)と、多くの思いやり(子ども達)に囲まれて育つ彼女は、やはり思いやりのある子に育つと思う。そして彼女はもっともっと伸びていく事ができるはずだと。
私ができる事はそんな彼女の成長をしっかり見ている事なんだと思う。「本当に親が必要な時」
それを見極めなくてはいけないのだ。
       年中組保護者 浦田  えり子