たけし

ピッコロではうさぎを1羽飼っている
名前はたけし、男の子
豆腐屋さんがピッコロでどうですかと
譲りうけたたけし

もうすぐゴールデンウイークでピッコロが休みになるため
たけしの預かり先をどうするかを聞いた
立候補は
はると(き)くん(年長)、さきちゃん(年中)、しんさん(年中)
前の日に「お家の人に聞いてからね」
と話をしていたところ
しんさんは、自分でお母さんに聞いてきた
「かかちんいいって~」

さきちゃんは、朝来てから自分で
「聞いてくるの忘れちゃった」といって
朝送りにきたお母さんに聞きに行った
「いいよって」

はると(き)くんは、お手伝いで入っていたお母さんに
その場で聞いた
用事がありちょっと預かることはむずかしいそう

どうやら預かり先は
しんさんとさきちゃんのどちらかに

先生が「で、どうする?」というと
「さいしょはぐーする」(じゃんけん)
「でもさきちゃんは(最初はグーのときに)チョキ出すし・・・」(どうして知ってるの?)
「じゃにらめっこする?」
ということで
みんなが丸くなって座っている真ん中に
しんさん、さきちゃんが立つ
しんさんは「なんかへん・・・」と言いながら
(かっこつけたいのにつけられない、ものすごく恥ずかしい感じで)
「笑った方が飼えない(つれて帰れない)よ」
とさすがパイナップル!確認する
さぁ、勝負
と思ったら
しんさん水筒を置く
さきちゃんは帽子を置く
やる気マンマン

2人とも指で口を広げて笑わせようとする
「しんさんがんばれ」
「さきちゃんがんばれ」
周りで見ている子ども達
両方の声が聞こえる
しかし2人ともそのまま動かない
相手をじーっと見ている

パイナップル(年長)の男の子
こうようくん「動かさないと~」
たっちゃん「違うことしないと笑わない」
どうやっていいかわからない感じ

かいちゃん「ずっとやっているとだめだ~こうやるんだよ」と
口を上に上げながら目も上に上げてみせる
やってみるがうまくいかない
「こうだけじゃなくて・・・」(またやって見せる)
すると、口も目もおかしな方向にぐしゃぐしゃになって
おかしな顔になっている
が、しんさん、さきちゃん笑わない

しばらくそのまま時間がすぎる
みんなの声から「にらめっこぜんぜんたつからいやだ」
「にらめっこって勝負つかない」
「最初はグーしかない」
と話す
しんさん、さきちゃんはにらめっこをやめて
じゃんけんすることに
しんさんはグー、さきちゃんはチョキ
その結果を見た瞬間
しんさんがさっと座る
勝った方がたけしをつれて帰れるということがわかっている
目の下、口の横、押さえた所が赤くなっている
するとあいちゃんが、先ちゃんの顔をのぞき込んで
「それでもいやだ?」と優しく聞く
さりげなく、さきちゃんの気持ちを汲み取る
「いやだ」と、さきちゃん

たっちゃん「じゃ、パーだせばよかったのに」
こうようくん「チョキしかだせないの?」
「最初はグー、ジャンケン・・・」
みんなでジャンケンする
(こうやってやるんだよとジャンケンを教えている?)
そんななか
あいちゃん「いやだ?」とさきちゃんに聞き
さきちゃんうなづく
こうようくん「しんさん勝ったからしょうがないよ、
ぼくだって負けて、鬼いやだったけどやったよ」
分かりやすく自分もいやだったけどやったよと教えてあげている

先生「しょうがないからしんさんだって」
かいちゃん「今度さきちゃんのときにやればいいよ」
さきちゃん「ちょっとだけしたいけど・・・」
やっぱり今回やりたい気持ち
かいちゃん「お休みの時にやれるよ」
先生「じゃ、しんさんでいいかな」
さきちゃん「いやだ」
「じゃ、がまんする?」
「しんさん勝ったよ」
と、子ども達がさきちゃんに聞く

かいちゃん「もう一回じゃんけんだめだよ」
こうようくん「最初の一回だけだよね」
一度決まった勝負なのでもう一回はないということ
勝負の世界
しかしそれでもさきちゃんがいやだと言っている
その言葉を無視しない

しんさんの顔を見ながら、やさしく
かいちゃん「ゆずってあげる?」
しんさん首をふる

こうようくん「うさぎの絵を描いて持っていく?」
さきちゃん「うさぎ描けない~」
だいちゃん「だいちゃん描けるよ~」
先生「じゃ描いてもらう?」
さきちゃん「いやだ」
かいちゃん「おりがみで作る?」
こうようくん「みどりの草でうさぎを作る」
だいちゃん「うさぎを買ってあげる」
さきちゃん首を振る、そして
「持って帰りたい」
たけしでなくてはいやだということ
「買ってその(うさぎ)名前をたけしにすればいい」
さきちゃん首をふる
どのうさぎでもいいというわけではない

「じゃ、しんさんしかないか~」
またまたしんさんに聞く
しんさん「いやだ」

ぜんちゃん「がまんしてよ~」
私も実はそう思っていた
たっちゃん「がまんできないの?」
さきちゃん「うん」
生活の中で我慢するべき所がある
それでも子ども達は
どうしたらいいのかを一生懸命自分ごとのように考える

(どちらも動かないので)
たっちゃん「じゅんばんじゅんばんにすればいいんじゃない」
「持って行くの大変だよ」
うさぎを動かすことが大変なことも知っている
うさぎにとって環境の変化をあまり変えないほうがいいこと

どうしたらいいのだろう?
考えに考えている子ども達
色々な方法を考える
その時の子ども達の顔といったらものすごく
真剣にどうしたらいいのかを考えて考えて

先生「さきちゃん、みんなの顔をみて」
自分のことを考えてくれている子ども達の顔を見せる
すると、、、
さきちゃん「がまんする」
この瞬間!
みんなの顔を見て、その一言で
自分から我慢する

大人が「がまんするんだよ」と声をかけるのではなく
その子が気付くその時を待っている

スタッフ まなみ