あな

毎日まいにち、穴をほる。

今朝登園したら、園庭のあちこちにできた穴のひとつに、年少児の弟が座っていた。からだが小さいから、かぶっている赤い帽子だけがひょっこり見えた。しばらくすると兄がやってきて、おなじ穴に入っていた。

彼らは、年中と年長男児が堀り続けてできた穴にもぐり、空を見ているのだろうか。

何を感じているのだろうか。

土のにおい。手触り。あたたかさ。

堀り続ける彼らのからだでどんなことが起きているのだろう。

「おとなになったら、なにか目的がないと穴なんて掘らないよね。せいぜい10分掘り続けたら充分で。なにか植えたい時とかね」と、一緒に眺めていた母が笑った。

年中の末っ子は、毎日まいにち、泥団子をこしらえている。

「ピッコロの好きなところは、なにで遊ぶかを自分で決められるところ。泥団子とか」。

まず、ちょうどよいかたさの土を見つけてきて、水を加えて手のひらでまるめる。さらさらの土をおしろいにして、つるつるに仕上げる。

ただ穴をほる。ただ土をこねてまるめる。無駄なことのようで、けっしてそんなことはない。きっと彼らがなにかを見つけている、よろこびの時間。

年中保護者 たきざわ