ピッコロを卒園した息子の話

ピッコロを卒園し、一年生になった長男。

先日、学校の宿泊行事があった。しかし息子は「(母がいないと)さみしいからお泊りしたくない」とのこと。

でもクラスのみんなは「全員で泊まりたい!」と言ってるらしく、  息子はとても悩んでいた。

「ゆづの中に、『お泊りしたい』という気持ちはあるの?」と聞くと、「そりゃあるよ〜!みんなで泊まりたいよ!!」と、想像以上に力強い答えが返ってきたので、とても驚いた。

「そっか〜!みんなと泊まりたい気持ちと寂しいから泊まりたくない二つの気持ちがあるんだね」 その日の会話はそこまでだった。

そして翌日。放課後、息子を迎えに行くと、早々に小声で、「泊まる事にしたよ。まだみんなには言ってないけどね」とボソッと言った。

どうやら、その日、クラスのみんなが、どうやったらみんなでお泊りできるか、いろいろ考えてくれたらしい。虫の苦手な子のためにアロマの虫除けスプレーを作ったり、夜に映画を見ながらお菓子を食べようと楽しい企画を考えてくれたり。

『みんなで泊まろう!!』という雰囲気の中で、「行きたくない」というのは、もしかしたらわがままだと感じる人もいるかもしれない。でも、そこで「泊まりたい」と「泊まりたくない」の気持ちの間でたくさん揺れて、お友達がたくさん心を寄せてくれていることを感じ、やっぱり泊まることに決めた息子。息子が自分で決めるまで、たくさんの貴重な時間を割いて待っていてくれた先生方。こうして自分の心を流さず、なかったことにせず、きちんと向き合うことは、とても時間がかかるが、息子にとってだけでなく、きっとみんなにとっても決して無駄なことではないと思う。

 

そういえば、息子がピッコロおばけ(年少)組のとき、同じような事があった。

入園して間もなくのころのことだ。息子は自分の身長よりも長い棒で遊んでいた。その日付き添っていた私は、ドキドキしながら見守っていたが、人が少ないところならまだしも、他にもたくさんの園児がいる。まだ3歳になったばかりの息子がこんな長い棒を扱えるのか…お魚釣りごっこをしながらドキドキヒヤヒヤしていたが、おそらく先生スタッフはもっとドキドキされていたことと思う。

年上の子達が、危ないよ、棒は下向きだよと声をかけてくれるが、息子も息子なりに気を付けている自覚があったのか、棒は手放さなかった。…と、そんなこんなしているうちに、はずみで棒が私の顔に当たった!「痛いっ!」すかさずみんなが集まってきて、私と息子を囲む輪ができた。「目に入ったら大変だよ」「棒が長すぎるよ」「半分にしたらどう?」「危ないから持って帰れないよ」園児たちが口々に色々なことを言う。もう3年も前のことなので詳細は覚えていないが、ただ、本当に息子のことを思いやってくれた気持ちの優しい温かいシャワーをこんなにたくさん浴びたのは生まれて初めてのことだったので、息子は「棒を持って帰りたい。この長い棒でないといやだ」と、ずっと泣いてはいたが、その涙は、悪い涙ではなかったと思う。

結局、「棒を立てて置いていったら?」と言ってくれたパイン(年長)さんの言葉に頷き、棒を置いていくことを自分で決めたのだが、ここに着地するまで、おそらく20〜30分くらいはかかったのではないか。棒で遊びたい、持って帰りたいという息子の気持ちにたくさんの子が気持ちを寄せてくれて、きっと同じような気持ちを味わった経験のある子もいるんだろう、そして大人はそれをまだ入園して一週間も経っていないのに信じて待っていてくれた。

…にしても、棒を立てて置いていくって!想像もつかないけど、きっとこの棒のかっこよさや唯一無二な感じを分かってくれたことが、嬉しかったから、息子もここで納得したのかな、3年たった今頃になってようやく分かる。本当に分かっているかはわからないけれど…。

 

とにかく、時間はかかったが、この日の出来事は私と息子にとって、そして他の子にもおそらく何かが育ったことと思う。

でもピッコロではこれが日常で、大小差こそあれ効率化できない大切な時間を皆でシェアすることでみんなが育っている。みんなの心が育っている。

そして、そんな社会になればいいと私は願う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今は、次男がおばけさんとしてピッコロに通っている。

先日、次男が、お友達の H ちゃんにハグされてとても嫌だったから謝ってほしいと喧嘩になった。

いつもなら怒らないし、とても仲の良い二人。謝りたくない H ちゃんと、謝ってほしい次男の平行線が続く。

すると、次男は急に、「わかった〜!自分の心を変えればいいんだ!………でも、まだ僕にはそれができない。」と言っていたらしい。

自分で自分の心を変える

仕方なく、や、むりやりでもない、あきらめでもない、ただ、いい気持ちのまま自分の心をかえる。

とてもとても難しいことを、この4歳なりたての子供はやろうとして、がんばっている。

昔、長男にどうやったら自分の気持ちを変えられるのか、秘訣を聞いたことがある。

「その人の気持ちを考えるんだよ」

友達好きの彼らしいやり方だなと思った。

きっと、その人その人でやり方がいろいろあるのだと思うけど、こうして、自分で自分を幸せにする力を身につけられるって、一生の宝だなぁと思う。

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おばけ保護者

tana