fちゃんの泣き声が徐々に大きくなるのだけど、気づく子はまだいない。すると年中女児のtちゃんが、「fちゃん、泣いてる!」と声をあげた。
年長男児のkも気づいて、道路を急いで、でも安全に素早く渡って、fちゃんの元へ。
川で過ごしてピッコロへ戻る時、今度は娘がfちゃんと手を繋いでいた。ピッコロ帰りの車中で「fちゃんにお願いされた?」と娘に穏やかな口調で確かめてみると、「うん、そう。つないでくれる?ってfに言われた」と教えてくれた。
年下の子の手をひき道路を渡ることは、娘にとっては、とてもとても難しいことのようだ。緊張するのだと言う。
年長なんだからできなくちゃ、という見方をしていれば、親のわたしは苦しくなる。けれど、年長組のお泊りを経て、視点がずいぶんと変わってきた。
親の凝り固まった視点だけどでは決して見つけられなかった娘の姿。fちゃんとのささやかなやりとりを想像した。
fちゃんは、泣いている子がいると、そろそろっと近づいてそばで佇み、気にかけている子だ。いつもいつも。泣いている子に、どうしたの?何が嫌だったの?と、たくさん話しかけるタイプではない。「◯◯なんじゃないかなぁ……」と、ボソッと教えてくれることもある。
静かで、でもとても芯が強く美しいfちゃんに、娘は確かに背中を押してもらって、ホントはもうちょっと頑張りたい、そんな自分に近づけているのかもしれない。
女の子たちが、ちいさなどんぐりを見つけては、一個二個と拾い集めていた。いつもの川で見つけた、秋のいろ。ここで見つけるこの色もいよいよ今年が最後なのだなぁと、ちょっぴり感慨深くなった。年長組保護者 まり