ぶどうがない

「ぶどうがない~~」

と泣いているゆづくん(年少)

お母さんにしがみついて泣いている

お弁当にぶどうがなくて泣いている、大泣きのゆづくん

私「なくていやだよね~」

「ぶどう欲しかったよね」

「食べたかったよね~」

など、気持ちを寄せていたが、ずっと変な顔をしている

お母さんも一緒にいるので甘えたくなるのもわかる

どうしたらいいのだろうか、、、?と思っていた

 

そこに、

せいや(年中)「どうしたの?」とやってきた

私「ぶどうがないんだって」と言うと、

自分の弁当にぶどうが入っていないか確認したり、

ゆづくんの弁当をのぞいたり、立ち止まりしばらく何かを考えていた

しかし、静かに自分の食べていた所に戻って行ってしまった

 

すると、

きいくん(年少)「どうしたの?」とやってきた

私「ぶどうがないんだって」と言うと、

それを聞いた、きいくんも自分の弁当を見たり

何か考えていたが戻って食べ始めた

 

そのやりとりを見ていた

ひーちゃん(年少)「ぶどうあげるよ、まだあるから」

と、ぶどうを1粒ゆづくんに差し出した

顔を上げぶどうを見たゆづくん

しかし、受け取らなかった

 

泣いているゆづくんに何かをしてあげたくて、

ゆづくんのそばに集まってくる子ども達

ちょっと遠くに座っている子もこちらの様子を見ている

 

すると急に、

はーくん(年少)「バナナある~ふた開けて~」

タッパーに入っているバナナ

開けることができないので私の所に持ってきた

すると、

きいくん「きいくん、できるよ~」とやる気満々で開けようとする

しかし、開かない

 

そこに、

ゆづくん「開けられるよ~」と軽く立ち上がった

(今まで泣いていてお母さんの後ろにしがみついていたゆづくん!!)

そして

開けた!!!

開いた瞬間、

きいくん「ちょうだい~」

はーくん「いいよ」

ゆづくん「ちょうだい~」

はーくん「いいよ」

きいくん「みんな~静かにして、はーくんのバナナ食べる人~」

なんと、みんなに呼びかけていた(はーくんにいい?とか確認なし、笑)

なんだかわいわいしている感じに、はーくんはいい顔をしてそれを見ていた

そのいい顔を見て、ゆづくんに何かしてあげたい気持ちでタッパーを持ってきたのではないか

と、ゆづくんのお母さんと話していた

 

私は、子ども達がバナナのことでわいわい話していたので

ぶどうのことはバナナのことで、すっかり忘れてしまったかなと思っていた

すると、

ゆづくんの隣にいてず~っと静かにこれらのやりとりを見ていた、

せっちゃん(年中)

「あげるよ」

ぶどうを1つ、ゆづくんに差し出した

受け取るゆづくん

今度は食べた!!!!!

 

1人ひとりが色んな形でゆづくんに気持ちを寄せて、

ゆづくんもそれを受け取っていた

せいやが来て考えた

きいくんが来て考えた

ひーちゃんがぶどうをあげようとする

はーくんが開けられない~とタッパーを持ってくる

せっちゃんがぶどうをあげる

直接関わっていないけど、周りで見守っていた子ども達

泣いているゆづくんに心を寄せていた

 

まだ一番上の子どもが小さい時(今高校生)、

こんな風に子どもを信じて待つということ、

大人が先走らないこと、なんてわからなかった時は、

「ぶどう、また買ってあげるからね」

「ほら今日唐揚げ入っているよ」

「ぶどうのことでそんなに泣かない~」

その場から離れる

などなど話しをずらしたり、ぶどうの話しから気持ちを離そうとしていたり、

気持ちをわかるとかしてなかった

(その方法しかわからなかったし、そうした方がいいと思っていた)

でも、子どものことをよーーーく見ることができるようになってきてから

(今も見れていない所たくさんありますが)

少し待ってみると言うことができるようになってきた気がする。

そして毎日、子ども同士でこんな風に心を寄せてるんだ!!!を知る

 

 

保育スタッフ まなみ