ぼうし【3日目】

【3日目】

この日も「たいちゃん(年少)の帽子を取る!!」

と、ものすごく張り切っている子ども達

何日もかけて他人のために動く

犠牲でもない
大人がやらせている訳でもない

やりたい気持ち

やってあげたい気持ち

どこから生まれるのだろうか


朝の会で、

「たいちゃんの帽子のこと今どう思っているか?」を聞く

おーちゃん(年長):ちょっとかんがえる

よっちゃん(年長):(みんなも)ちょっとてつだってね

せいや(年少):ぼうしとるのかんがえる

帽子をロフトの上にあげてしまったたいちゃんも

す~っと立ち上がり

たいちゃん:すきなぼうしは、とるばしょにある

という

好きな帽子は

今、手元にない、、、
そんな思いがたいちゃんの心にある

朝の会が終わり、

小屋に入り、また続きをする

よっちゃんは、丸太のイスを2個持ってきて重ね、
おーちゃんがイスの上に上ろうとした瞬間、

ふくちゃん(年中)、すももちゃん(年中)、
おーちゃんがずれてしまわないように

ささ~っと来て押さえる

この流れが自然すぎる

イスがずれると上に上った人が危ないな、を考えている

危ないから押さえますよ~など

大人の声は全くない

自分で考えているということ

大人はその場の安全を見ている

本当に危ないことは大人が入る

おーちゃん、るいくん(年長)がイスに上り、
ほうきで取ろうとするがなかなか取れない

その様子を見ていた

かずくん(年少):木がちかいから

と、つぶやく

ロフトの真下にイスを置いているので

ちょっと取りずらそうにしている、おーちゃん、るいくんの姿

そこを見ている~

そして急に

よっちゃん:これでできるかも

と、手には木の棒

よっちゃん:投げて(棒を)くるくるして取る

(棒を投げて回転させて取る!というイメージ)

今までにない「投げる」という作戦!

すると、

ふくちゃん(年中):ひも、そしたら投げてひもで取れる

私:どうしてひも?

ふくちゃん:棒なげたら(ロフトの上に)上がっちゃうな~って

ひもつけたら取れるな~って

棒にひも作戦!!

考えた~~!!!

すぐにひもを探す

みーぼくん(年少):このひもあるよ~

探したのは、ぬれたカッパをかけるために柱にくくりつけた細いひも

年長さんも、年中さんも、年少さんも

何かないかな~と探していた

その場をみんなで考えている

自分事だ

「いいね~」と、そのひもを大人がはずす

よっちゃんがそのひもを受け取り、ぼうにしばる

投げようとするよっちゃんの姿を見た

年長さん達:危ないよ~~どいて~

(投げた棒が当たるかも、、、、、)

この「~するかも」を考えられる子ども

想像力が育っている

よっちゃんが投げる

獲物を捕獲しようとするときみたいな真剣な顔

【1回目投げる】

棒は帽子のすぐ右横に上がる

帽子の右側にある棒をどうするだろうと

見ていると、ひもを左側に引く

棒も左に寄り帽子に近寄ったが

帽子を取ることはできなかった

【2回目投げる】

棒が上にあがる

今度は帽子の奥に棒がある

しーんとなる

ひもをゆっくりと引き寄せるよっちゃん、、、、、

帽子が落ちた!!

喜ぶ子どもたち、ジャンプしている

実際に取ったのはよっちゃん

でもみんな自分事として見ている

いろんな出来事が人任せではなく、自分だったらどうするかとか

どう思うのだろうかとか、そこは危ないよとか

次はどうしたらいいのか、などなど

色んな思いを持ったまま、

この先もそのまま大きくなっていってもらいたいと思う

そして、話しを聞く(棒を投げたよっちゃんに)

私:棒を投げる時、どう思っていたの?

よっちゃん:なげてゆ~っくりひっぱった、

そしたらぼうしにあたったから、とれるなとおもった

ものすごい映画を1本見終わった感じ

本当にすごかった~あきらめなかった

後日、たいちゃんに聞いてみる

私:あの時、帽子取ってくれたこと、どうだった?

たいちゃん:パインかっこいい

帽子を取ってくれたこと、

何度も何日にもかけてやってくれたこと、

あきらめなかったこと、

みんなが応援してくれたこと、

色々考えてくれたこと、

取れなくてごめんねと謝ってくれたこと、

その他、私が思いつかないような所

色々、いろいろ

たいちゃんの中に、また積もっていく


保育スタッフ まなみ