どうぞ だいじにしてください。

かっこよくてみんなが大好きなパイン組の8人がピッコロを卒園した。

見えない大事なものを、たくさん置いて。
そして、自らの力で立つその姿に、たくさんのキラキラをたずさえて。

卒園おめでとう。

写真は、うさぎ組おばけ組(年中、年少組)からひと言ずつ、パインさんへの気持ちを伝えている場面なのだけれど。

3学期、途中入園のRは最後尾に並んでいた。
うさぎとおばけは順々にマイクを持って、パインさんへのことばをかけていく。最後のRはマイクを受け取ったが、言えない。

Rがうさぎのmに頼んだら(この場で代弁してほしいと事前に頼んだそうだ)ムリ!と言われた。次に、うさぎのkちゃんに頼んだ。最初はいいよ、とうけてくれたが、やっぱりできないと断られていた。

さあどうする。もぞもぞ。みんなが見守る。この日Rが初めて出会う卒園児の兄(OB)も保護者席から笑顔でRを見守る。
保育スタッフのyさんとアイコンタクトをとったR。yさんに言ってもらう?と先生。うなずく。

yさんの耳元で小声。
◯×◯×
え?! ◯◯×??
ちがう。
◯×◯×
◯◯◯×??
ちがう。
何度も繰り返しやりとりし、yさんでは聞こえないみたい、とスタッフmさんに交代。

◯×◯×
え?! ◯◯×◯?
ちがう。
◯×◯×
◯◯◯××???
ちがう。
◯◯◯◯
◯◯◯×???
ちがう。
◯◯◯◯
パインさんがいてうれしかった。???

R、うなずく。

そうかーー
会場のみんなに笑顔が満ち満ちた。

おばけとうさぎは、みんな、パインさんがいなくなって寂しい気持ちや、ありがとうの気持ちを伝えていた。けれど、1か月半ほどだけ共に過ごしたRは、パインさんと一緒にいられてうれしかった、その気持ちを伝えたかったのだ。

卒園式の片づけが終わり、ほっとひと息、進級組母たちで輪になり話をしている時、Rのお母さんが教えてくれた。
とにかくピッコロのみんなのことをかっこいいって言って。特にパインさん、かっこよくてかっこよくて。パインさんはかっこいいかっこいいって、Rは毎日、いつも言っている、そんなことを教えてくれた。

当たり前にいてくれて
困っていたら駆け寄ってくれて
でも、もうそこは自分でやったらいいよっていう時は、心の奥をじーっとじーっと見ている時間、それにたとえ何日かかったとしても、静かに時に朗らかにそばにいてくれた、パインさん。

Rも1か月半の間、パイン組からたくさんの愛を浴びていた。

そして、卒園式のプログラムを時間内におさめるとかではなく、Rを待てる保育の場に感謝した(子どもの育ちを考えて、瞬時に何が大切か、どこが育つかをみながら、先生やスタッフは待ってくれている。何でもかんでも待つ、ではない)。

今年度、年長組の保護者皆さんは、ピッコロハウスのデッキ部分を綺麗に暖かく整えて、卒園保護者からのピッコロへの贈り物として残してくださった。

毎年、卒園式では、年長組の代表者(子ども)から、年中、年少組の代表者(子ども)に卒園プレゼントの贈呈がある(パイン母が手作りしてくれた目録をみんなの前で渡し、受け取る)。

そこで、年長組代表のhが、うさぎとおばけの代表、年少組のkにかけてくれた、ことば。hが考えて、贈ってくれたことば。

「デッキをきれいにしました。
どうぞ だいじにしてください。
デッキのあなに とびらをつけました。
どうぞ だいじにしてください」。

それを聞いて、デッキも、デッキの穴も、贈ってくれたパイン(自分)の気持ちも、受け取ったうさぎおばけ(自分)の気持ちも、これから出会う新しいおばけさんの気持ちも、学校で隣りの席の新しい友の気持ちも、世界の向こうのまだ見ぬ誰かの気持ちも、川も森も虫も鳥の気持ちもだいじにしよう……そんなことを想った。

ありがとう。
おめでとう。

だいじにしていくね。

2019年度、たくさんのお気持ちをありがとうございました。

さあ、ゆっくり少しずつ、2020へ。
新年度も面白がるぞ!(パイン父のsさんが残していってくれたことば。面白がってよ!! 関西弁で)

新年度も、どうぞ森のようちえんピッコロをよろしくお願いいたします。

うさぎ母 まり