『沙漠の花/犀の角』(島田環 著/税込600円)
卒園児の保護者である島田環さんが、子どもたちのエピソードをまとめた小冊子『沙漠の花 自己肯定感をめぐる茫洋とした話』に加筆し、出版されました。
「犀の角」は「沙漠の花」から続く、孤独についての思索です。そのなかで触れられているハンナ・アーレントの論考はとても難解ですが、子どもたちの姿を手がかりに読み進めていくことで、自己肯定感、孤独、考え続けることの意味が確かに繋がって、いまの時代にこそ、ひとりひとりが圧倒的に孤独であろう、という宣言には胸が高鳴ります。
たくさんの方に傍らに置いてもらって、繰り返し手にとってもらえたらと思い、ピッコロでも通信販売いたします。
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以下、著者の島田環さんからです。
ピッコロ内部に向けて編んだ「沙漠の花」には保育の姿はあまり出てきません。それはこの場を作っているのが、先生やスタッフであるということは自明のことだったからです。
友達に、自分の心を見るのだよと声をかけて、延々と待ち続ける子どもたち。自分の身体を扱うのは誰なのか、自分の心を育てるのは誰なのか、自分の心を見るとはどういうことなのか、真摯に考え、その答えを胸に歩いていく子どもたち。
『沙漠の花』のなかではその姿を紹介しただけですが、具体的な保育の話はなくとも、「よい保育」というものが言葉かけや教材の工夫ではなく、まず何よりも心の在り方であるということや、ピッコロの保育の険しい温かさも伝わるのではないかと思っています。
孤独な者の美しさの理由を、ピッコロの子ども達、宗教家、哲学者、芸術家を手がかりに考察した一試論として。