壊れたブラシ

昨日は、月に一度の全体ミーティング。終わった頃には、薄暗くなり始めており、日が短くなったことを感じた。

一日園長だった私が帰り支度をしていると、珍しくパイン組(年長)の男児Tくんに呼ばれた。「トイレのブラシが~…」何か言っているが、一歳になる次男があちこち動き回ってなかなかちゃんとTくんの話を聞けない。

ようやく一段落して、そういえば、さっきTくんが呼んでたなーと周りを見渡すと、どこからともなく私の前にTくんが姿を現す。…私の用事が終わるのをずっとそっと待っていてくれたことがよく分かったとともに、大事な話がありそうな予感がした。

Tくん「この前トイレのブラシを折っちゃってね、だから新しいやつ使って」と、ブラシの置いてある場所まで私を連れていき、これだよと丁寧に教えてくれた。

話を聞くと、先週、ブラシで遊んで壊してしまい、週末に新しいブラシをお母さんと買いに行って、しかも自分のおこずかいも出した(でも少しだけ)らしい。

私がその新しいブラシで掃除をしている間、彼はずっとずーっとその様子を見ていた。Tくんがどういう気持ちで見ていたのかは分からないが、私はTくんの空気があたたかく感じた。

そして、「みんなのお母さんがブラシ新しくなったこと知らないから、毎日、園長のお母さんに教える」とも言った。

きっとTくんは、ブラシを壊してしまって、そのあとどうするべきか自分で考えたのだろう。自分がやったことに責任を持つとはこういうことなんだなと思った。

帰りの道中、中島先生が、オランダのイエナプランの視察に行ったときのお話を思い出した。視察先では、高校生の生徒会長がはじめから終わりまで対応してくれて、先生や大人は出てこなかったらしい。

今日のTくんの姿が、私にはなんとなくその生徒会長の姿と重なって見え、もうすぐ二学期も終わり、徐々に卒園に近づいていくパインさんの頼もしさを感じた。

年少保護者 あかね