6月 うさぎ組

日曜日。森に新しい道ができた
お父さん達が道のない森を歩いて枯れ枝を折ったり、
シャベルで土を削ったりして作ってくれた
先日、森の樹木医あんじぃさんという方に来ていただき、
森を痛めない整備の仕方や安全に作業をするやり方や心がけ、
森について昔の人はどう思っていたのだろう?など盛りだくさんの内容を聞いた
同じ森の道を歩き続けると、その部分の土が踏み固められて
雨が降ったら染み込まず、山の土が一緒に流れ出てしまう
いつも同じ場所で遊ぶのではなく、ちょっと違う道を通るということが森にとって
いいということも教えてくれた
(保育では、子ども達に答えを言わず、自分達で考え続ける子になってもらいたいという願いがある。「同じ道を歩き続けるとどうしてだめなのか」という問いをずっと考え続けている子ども達の姿がある)

今日は2クラスに分かれて歩く日
うさぎ組(年中)さん8人は森へ行くことに
新しくできた道を歩く
みーぼくん「こっちだよ~」と新しい道を見つけてみんなを引っ張っていく
途中、動物の糞が落ちているのを見つける子ども達
「誰のだろう~」と話すうさぎ組

子「牛?」
子「ここにいるかな」
子「レーズン?」(小粒でたしかに似ている)
子「こんなところに?」
子「鳥?」
子「でも鳥はこんな感じじゃない」

かがんでにおいを嗅いでみる子もいる
日々、全身で色んなことを感じている

子「くさい~~~!!」
子「うわ~~」
子「どれどれ?くさい!」
子「熊?」
子「熊は白州にいる」
子「でもここも山だし」(怖くなる)
子「行こう~~」歩き出す

少し進むと、張り切って歩いていた先頭のみーぼくん、足取りが重くなり止まる
みーぼくん「あおおに、、、」と、ぼそっとつぶやく
そしてゆっくりと列の後ろに下がる
「なんか、、、怖い、、、」誰かがつぶやく
歩いたことのない道
見たことのない景色
熊もいるかも、青鬼もいるかも、、、
いつも守ってくれたり、考えてくれたり頼りになるパイン組(年長)がいないなど
それぞれ感じ、色々考えて
静かな時間が流れる

その時間に私も考える
「先生~怖いから先に行ってよ~」と言われるかな
「もう帰ろうよ~」なんて言うかな
「大丈夫だよ、行ってみよう!」そのまま進んでいくかな
などと思っていた

しかし、全く想像していなかった言葉が飛び出る
せいや「川チームに負けちゃう!!!」
子ども達「負けちゃう~~~!!」と一気に賑やかになり
来た方向に引き返し、違う道を通って森の上に向かって歩き出した
(川チーム:年長、年少が川に行っている、
特に川チームと競争などしていない)

どうしてその言葉を言ったのか???
なんとかしたかった?
その場を切り替えた?
気になる
聞いてみる
私「どうして川チームに負けちゃうって言ったの?」
せいや「みんなが歩かないから」
自分が怖いからではなく、
みんなのことを思っての言葉だった
子どもはそういうことを考えて生きている

そしてまたずんずん歩き、あっという間に森の上にある神様の石に着くと、
みーぼくん「あんじぃ(樹木医)が言っていた。同じ所で遊ばないって」
せいや「木が折れちゃう!!」
こっちゃん「神様を踏んじゃう!!」
(森には神様がいて、神様の石と土はつながっている。土とつながっているから、
神様が傷ついちゃうということ)
(「あんじぃが同じ所で遊ばないって言ったのは、どうしてだろう?」と、
大人が場をつくり、子どもはどうして?と考え続ける子になっている)
子「・・・・・・・」ちょっとの時間無言が続く
子「・・・・・・・・」←子どものこの時間にどれだけの考え・思いがあるのだろうか

すると、急に
みーぼくん「じゃ、この上で遊ぶ?」
(いつも遊んでいる神様の石の場所からちょっと上の場所)
子ども達「そうしよう~~!!!」
石の上の所に移動して遊び出す子ども達
すると、みーぼくんが急に私の所へ来て
みーぼくん「みーぼ、いいこと考えた~~!!」
るんるんるん♫と空に飛び跳ねちゃうのではないかというぐらい嬉しそうにして、
みんなの所へ行き遊び始めた
自分の考えがいいこと♫だと思えること
年少から年長の3年間!
自分はなんでもできる!!
この積み重ねをして卒園していく

蜘蛛を見つける子ども達
穴の中に大きな蜘蛛がいる
うさぎ組のほとんどの子が「くもおいで~」「こっちだよ~~」と、
棒で蜘蛛に当たらないように地面をたたいて遊んでいる
この場面をどう見るか
蜘蛛をいじめているようにも見える
蜘蛛と遊んでいるようにも見える

すこしの時間(この場は1分ぐらい)が過ぎると、
さきちゃん「おうちにかえりたいんだよ」
そして「葉っぱあげるね」と、1枚の葉っぱを蜘蛛にあげる
せっちゃん「おうちにかえりたいんだよ」
すると、たいちゃん「かわいいね~~」と、言いながら
周りにあった松の葉っぱを蜘蛛にかけてあげる

その場にいた、せっちゃんに聞いてみた
私「蜘蛛に「こっちおいで~」とやっているとき、どう思っていた?」
せっちゃん「ちょっとおもしろかった」
私「おもしろかったんだね~。その後「おうちにかえりたいんだよ」って
言ったでしょう、どうしてそう言ったの?」
せっちゃん「ちょっとかわいそうだった」

「おもしろい」と思う気持ちが、
「かわいそう」って思う気持ちに変わった
子どもが自分でそう感じた

大人は子どもに言い過ぎてしまう、子どもをあまり信じていない
「そのままだまって見ていると、子どもはやりすぎエスカレートしてしまい、
蜘蛛をつぶしてしまうかもしれない」
「小さい子どもだから言わないとわからないんじゃないかな」
そう思っていた時もあったな~~と、ちょっと昔を思い出す

子ども達が蜘蛛を囲んでいた場を見て
なんとかしなきゃ
止めなきゃ
という気持ちはなかった
任せて大丈夫でしょうと信じていた

日々の保育で
どうして子どもはそうしたのだろうか?
どうして子どもはその場所にいるのだろうか?
どうしてその言葉をかけたのだろうか?
今まで怒っていたのに急に仲良くなっているのはどうして???
子どもを理解したいという思いで
子どもに聞いてみて
「うへぇ~子どもはそんなこと思っていたんだ~~」
と、何度も何度もひっくり返り
「もう~いやだ~~~」と何度言ったことか
そして今も、、、

だから色んなことがちょっと
待ってみよう
信じてみよう
見てみたい
大丈夫
に変わった気がする

保育スタッフ まなみ