同じ釜の飯



ピッコロには給食の日というのがあって、有志母さんたちが学期に数回、給食を用意する。

夏には流し素麺を、節分には太巻きを用意するなど、季節を意識した献立もあるが、給食のはじまりは、ピッコロOB現6年生母の『同じ釜の飯を食べてもらいたい』という想いからスタートしたと聞いている。

今年度ラストの給食。
中心になって計画とりまとめ準備してくれた母たちからは、献立だけでなく、給食から波及する色々までたくさん考えている様子が伝わった。

メインメニューは炭火で煮込んだおでんだ。

年少児の祖父からいただいたお米を羽釜で炊き、年中児の祖母からいただいた大根はおでんにたっぷり煮込み、瑞々しい白菜はコールスローに。
年中児女児がクッキー生地をハートに抜き、母と一緒に焼いてきてくれたクッキーにはクリームといちごが添えられている。こんにゃくのおかか和えは持ち寄りで、ピッコロの裏山に芽吹いたふきのとうとピッコロ味噌で作った蕗味噌も並んだ。

じっくりじっくり味のしみたおでん。
気持ちもしみたおでん、とは、ひとりのスタッフが言ってくれた。

「あー持ち帰りたいくらい! ぼく今日タッパー持ってるし!」と笑顔はじける年長児。

おでんの具をたくさん平らげ、白米もおかわりした後、「お汁ください」とお汁だけのおかわりに2回並んだ年中児。

「せっかくお母さんたちが作ってくれたから、ぜーんぶ食べたの。おいしかったー」と給食母さんたちに感想を伝えてくれた年少児。

わが家の長男の在園時代に給食をしてくれた先輩母たちの姿や、一緒に試行錯誤した同期母たち、給食日以外にも「今日は寒いからごはん炊きます!」、「お味噌汁作ります!」とあたたかいごはんやお汁を手際よく用意する母たちがいた。
想ってくれた先に広がった様々な光景が今、鮮明に甦るのは年度末だからか。こうしてまた繋げてくれた、と思う。

卒園を間近に控えた年長男子たちの姿に、寂しさと喜びが交わる。
おとなは、うれしいも歯がゆいも時にやるせない気持ちも見つめ、本質は至極シンプルなのだろうと感じている。
伝えあいたい、そうだったんだねってただ聞きたい、理解したい……。逃げたい気持ちも自分の心に見つかるのだけれど、できるならば逃げずに彼ら(年長パイン)のようにやりたいと思えたのは、どこまでもあたたかな給食のおかげもあるだろう。

大袈裟でなく、最高においしいおでん給食の景色を子どもたちもこの先の人生で思い出すことがあるかな。同じ釜の飯を今日もごちそうさま。

年少児保護者 たきざわ