雪に埋まる

車道横の溝に雪がたくさん積もっていた
その上を数人の子ども達が歩いていた
そろそろ~っと歩いているが、
ズボッと急に足が下に落ちるその感覚を楽しんでいた
どうしたら落ちないか
考えながら歩いている子や
どんどん歩いてどんどん落ちる子がいる(笑)

すると、みゆうちゃん(年少)が溝にはまった
きゃ~
と、楽しそうにみゆうちゃんが言っている周りで
同時に何人も足が下に落ちて、周りの雪が固まってきた

また、きゃーと言いながら、しばらくそのまま楽しんで
足を雪から抜こうとした
しかし、、、抜けない
何度やっても抜けない

みゆうちゃんの顔がだんだんこわばっていく
それを見た、だいちゃん(年中)
最初の一言
「ぼく持っていいよ」
みーちゃんの高さまでしゃがんで肩を貸す
肩につかまって力を入れたらいいよ、と
ぼく持っていいよ、、、自分だったらそんなことが言えるだろうか

肩を貸してもらって力を入れるがやっぱり抜けない
泣き出してしまう

周りにいた、お)はるとくん、きーちゃん、
はくとくん、りょうちゃんが周りの雪を足でかき出そうとしている
なかなか掘れない

ゆいちゃん(年中)は「ずっとそうやっているとつらいよね」
(そのままの姿勢は結構つらそう、雪で冷たそう)
その子の気持ちに寄り添っている

その様子を少し離れた所から見守っているあいちゃん(年長)
年長は本当にできない時に現れる
その子ができるかも知れない、やりたいかも知れないと見守っている
雪がなかなか穴から出ないことがわかると、ピッコロに走り出し
あっという間にスコップを持ってきた

持ってきたのはあいちゃんだったが、スコップで掘っているのはだいちゃん
ここはだいちゃんに任せている
しかし、なかなか掘れないことがわかるとあいちゃんが交代する

掘っては上に乗せるが、またその横から雪が崩れていく
そのあいちゃんの横ではるとくんが
「こっちからやらないととれないよ」と何度も角度を教える
あいちゃん、だいちゃんが交代しながらその方向から掘っていくが
うまくいかない
だいちゃん、みゆうちゃんに「うーんってしてごらん」(力を入れてごらん)
みゆうちゃん「いたい」
あいちゃん「痛くてもがまんして」(がまんすることも大事ということ、
ほんとうにつらい時にはその言葉はでない)
色々声をかけてなんとか取ろうとする

そこで、はるとくんがスコップを持つ
数回ざくざくっと掘っていくと
足が抜けた!!!
どこを掘れば抜けるかその角度がわかっていた
ここを掘ればを頭で計算していた!
数回で??すごすぎ!!

そのとれた瞬間
だいちゃん「いたかったね~」
そう、今一番ほしい言葉はその一言だと思う
足を引っ張っても抜けない
手や肩を貸してもらって引っ張ってもらっても抜けない
固まった雪にはさまれてさらに痛かったと思う
「よかったね~」も言われてうれしいと思うけど
「いたかったね~」と言っただいちゃん
心に寄り添う

スコップを持って帰るときに
一番後ろで何かをしているだいちゃん
よく見ると今みゆうちゃんが落ちた穴に雪をかぶせている
「どうして雪をかけているの?」と聞くと
だいちゃん「だれかがまた落ちるかもしれないから」

誰かがまた、雪にはまってしまわないように
そっ~と雪をかけているだいちゃんを見ながら
どうしてそこまで考えられるのだろうかと思っていた

ピッコロに戻り、みゆうちゃんの着替えを手伝いながら
何気ない話をしていた
すると急に突然
みゆうちゃん「どしーんってやっちゃった、雪に乗ってみたかった」

私には、さっきのこと自分でやっちゃったのにみんなに迷惑かけちゃった
というように聞こえた
みんなの温かい気持ちが伝わっているんだなと思った

スタッフ まなみ